2020年7月、本来なら「東京オリンピック」が開催されるはずだった。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、東京オリンピックの開始が来年度に延期。それどころか、各種イベントや夏祭り、夏恒例の花火大会までも中止を余儀なくされる年になった。
毎年暑い時期になると、各地で神輿をワッショイワッショイとかつぐ光景を目にする。
汗だくでびっしょりになるけれど、その顔はみんな真剣そのものだ。
カラフルな屋台が立ち並び、ラムネやりんご飴を食べ歩きながら、ヨーヨーすくいやスーパーボールすくいを楽しみ、思い思いの浴衣を着て楽しむ。
それが、日本の毎年の夏の光景だったはず。
しかし、今年はその光景がない。
どこに行ってしまったのだろう?
毎年、当たり前のようにあった夏祭りや花火大会がない。
荒天候で中止になることはあったものの、祭りが“目に見えないもの”によって中止になるなんて、かつて考えたことがあっただろうか?
“目に見えない”ものだけではない。
夏祭りや花火大会があるのも、多くの人の助けや支えがあるからこそできるものであることに気づく。
祭りや花火大会だけではない。
おいしいお店があるのも、ステキな料理を作ってくれる人がいるおかげ。
家があるのも、家を作ってくれる人がいるおかげ。
電車やバスが毎朝時間通りに来るのも、それを運転する人、陰で運行状況を支えてくれている人がいるおかげ。
毎日、意識することなく「当たり前にある」と思っていたものが、実際は当たり前ではない。
自分が誤解していたことに気がつく。
様々な要因を考え、実行しようとする人がいても、運や奇跡が重ならないと実行されない。
今、手に入れていることも、身の回りにあることも、現実にある一つ一つも、すべて当たり前のことではないのである。
陰で支えてくれる人のちからのほかに、色んな運やめぐり合わせが重なって、初めて「当たり前」に出会えるのである。
世の中の当たり前にあることは、実は当たり前じゃないことに気づいた年。
来年こそ、暑い夏に「当たり前」が戻ってくるだろうか?
当たり前に再び出会える夏を、心待ちにしたい。