多摩地域西部を南北に走る鉄道である多摩モノレールの延伸が、いよいよ実現しそうです。
東京都は、検討を進めてきた多摩モノレールの箱根ヶ崎延伸について、「上北台駅」から「JR箱根ケ崎駅」の区間について整備を進める方針を固め、新年度に基本設計に着手することを公表しました。
多摩モノレール延伸の沿革
画像参照元:武蔵村山市公式ページ
多摩モノレールは、1981年に「多摩都市モノレール等基本計画調査報告」が発表されたことで計画が動き出しました。
多摩モノレール延伸計画については、箱根ヶ崎駅までの延伸の他、多摩センター~町田、多摩センター~八王子などの複数の計画立案されており、東京都はこれまで各ルートの延伸可否を検討してきました。
1期区間として立川北駅~上北台駅が1998年に開業。2期区間として2000年に立川北駅~多摩センター駅間が開業しています。しかし、その後の延伸については、多摩モノレールの経営不振もあり「負の遺産」とまで言われ、話が進みませんでした。
ようやく、延伸が本格的に動き出したのは、2008年4月に「多摩都市モノレール経営安定化計画」が策定され、同社の経営が安定してからです。
今回の決定は、これら複数計画案のうち、多摩モノレールの現在の終着駅である「上北台駅」および瑞穂町「JR箱根ケ崎駅」の間の「箱根ヶ崎ルート」で、約7.2kmの区間について先行整備を進める方針を固めました。
東京都は、本事業費を800億円と見積もっており、うち新年度予算案には基本設計に資する1億円を計上しています。
武蔵村山市で熱心な建設運動が続けられる
上北台~箱根ヶ崎ルートが導入空間となるのは、多摩地域の交通の要である新青梅街道。現在は拡幅工事が進んでおり、2021年度までに完了する予定です。
完成すればモノレール用地がすべて確保されることになり、モノレール着工の条件が整います。
この沿線沿いの自治体が武蔵村山市。モノレール延伸を悲願として熱心な建設運動を続けてきました。
導入用地の確保と沿線の盛り上がり、都知事による「多摩格差ゼロ」公約という条件が整い、他の構想区間より先んじて事業化されます。
モノレール延伸により、7つの新しい駅ができる見込み
多摩モノレールの武蔵村山市方面への延伸により、箱根ヶ崎駅を含め7つの新しい駅ができる見込みとなっています。
箱根ヶ崎駅以外の新駅の場所は、公式資料が見当たりませんので正式な位置は不明ですが、地元の方の情報やブログなどによると、以下の7箇所の付近に駅ができる模様です。
- 学園三丁目交差点
- 村山病院北交差点
- 本町1丁目交差点
- 三ツ木交差点
- 青岸橋東交差点
- 瑞穂武蔵
- 箱根ヶ崎
沿線にある大型施設としては、大型商業施設「イオンモールむさし村山」、大型ホームセンター「ジョイフル本田瑞穂店」などがあります。
バス便が必要だった新青梅街道付近に駅ができることから、不動産開発の活性化がおき、新しい商業施設の開発など経済の活性化が起こりそうです。
開業予定時期は12年後を予定
武蔵村山市の地元民の方たちをはじめ、長年の悲願である延伸計画が大きく実現しようとしています。
都内なのに電車がない街と、田舎のようなイメージを植え付けられている市としては、レールが走る街になることで、地域格差を解消したいという強い思いがあることでしょう。
開業時期については、おおむね12年程度の時間をかけて開業される見込みです。単純に計算すると2032年頃には開通していることでしょう。
すぐにレール設置工事を進めて欲しいという声も聞こえてきそうですが、先が見えない戦いからは一歩前進していますので、あとは気長に待つしかありません。
長年この地に住む方や住宅を購入された方など、なかなか鉄道計画が発表されず諦めかけていた方には、今回の延伸計画は期待に胸膨らむ事業計画ではないかと思います。
大型商業施設や公園、病院や市役所など、生活に欠かせない施設が多くある沿線。自然豊かな環境と都心へのアクセスしやすさと2つが同時に手に入る日も、そう遠くはない現実となることでしょう。